授業科目名 | 1群特講B@刑事実体法の論点と思考パターン【1群特講Ⅰ@刑事実体法の論点と思考パターン】 |
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配当年次 | 2024 |
単位数 | 1単位 |
授業担当教員 | 井田 良 |
履修条件 | 特になし。 |
科目の目的・到達目標 | 受講者が3年次に進級するまでに学んだ刑事実体法科目の学修成果を踏まえて、事例(ケース)に即して、受講者の基本的理解を確認し、また補充し、さらにそれを応用できる能力を涵養できるような授業としたい。受講者が、司法試験過去問においてくり返し問われてきた論点、および問題解決のために必要な思考パターンを認識することを通じて、刑事実体法に関する学識を固め、広め、深めるとともに、その応用力を養い、問題分析力や法的思考力を大きく伸ばすことを科目の目的としたい。 重要な判例と主要な学説については、事案の内容、根拠、論証方法等を十分に咀嚼し、発展的に応用可能な程度まで頭に入れて定着させることを目ざしたい。総じて、司法修習に十分対応できるだけの法的思考力、事実関係を的確に分析し把握する事実関係分析能力を培う一助とし、ひいては、近い将来、刑事の分野での法曹実務家として活躍できるだけの学識と法的思考力の基礎部分を確実に構築することを授業の到達目標とする。 なお、この授業の到達目標は、法科大学院修了者の「共通的到達目標(コア・カリキュラム)」に掲げられた内容を意識しつつ、かつ、これを基礎とした上で、本学の教育理念に照らして掲げられたものである。C plusにおいて、科目ごとの到達目標を掲げているので、自学自習を含め、各自が本学修了までに理解しておくべき事項をきちんと修得するよう、計画的な学修を進めることをあらためてお願いしておきたい。 |
授業の概要 | 司法試験論文式試験の過去問を素材とし、次のような問題を検討することとしたい。すなわち、①論点の抽出とその重みの評価、②刑法的評価を尽くすことと評価の重複の解決(罪数論)、③法的三段論法とその限界、④上位基準と考慮すべき視点との組み合わせ、⑤事実認定との関わり(いわゆる視線の往復)等の問題である。授業においては、担当者が刑法の事例解決の技法として重要と考えられるところを取り上げて説明し、受講者との問答を多用しつつ、一緒にそれぞれの問題点についての検討を行うこととしたい。ただし、過去問を素材とする趣旨は、それが実際に生じる事例に近く、かつ時間をかけて詳細に検討するに値する論点を含む良質な事例問題だと考えるからであり、それを用いて解答の作成方法を学ばせたり、理解を伴わない暗記的な学修を促すものではまったくないことに留意していただきたい。 |
講義内容 | 第1回 実行行為の捉え方 第2回 結果の帰責と共同正犯 第3回 具体的事実の錯誤と抽象的事実の錯誤 第4回 実行の着手と因果関係の錯誤 第5回 正当防衛、緊急避難、自救行為 第6回 違法性阻却事由の錯誤(誤想防衛、誤想過剰防衛等) 第7回 共謀の意義と共同正犯 第8回 共同正犯をめぐる諸問題 第9回 財産犯の主観的要件(故意と不法領得の意思) 第10回 占有をめぐる諸問題、横領罪 第11回 強盗罪、強盗致死傷罪 第12回 偽造罪(文書偽造罪の基本的諸概念、他罪との関係等) 第13回 放火罪(関連規定の理解) 第14回 国家的法益に対する罪(公務執行妨害、司法作用に対する罪、贈収賄) 第15回 筆記試験の実施 |
評価方法 | 平常点50%(授業への参加と寄与の度合を総合的に評価する)、第15回に行う筆記試験50%の割合で評価する。 |
テキスト・参考文献等 | テキストは使用しないが、あらかじめレジュメを配布する。参考文献としては、井田良=佐伯仁志=橋爪隆=安田拓人『刑法事例演習教材〔第3版〕』(有斐閣、2020年)を勧めたい。 |
科目群 | 法律基本科目群 |
サブタイトル |