授業科目名 | 3群特講Ⅱ@法整備支援論 |
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配当年次 | 2・3年次 |
単位数 | 2単位 |
授業担当教員 | 佐藤 直史 |
履修条件 | 特になし。 |
科目の目的・到達目標 | 本授業は、各国政府、国際機関、NGO等により近年活発に行われている法整備支援に関し、その内容、成果、問題点等を検討し、その理論と実務についての課題と展望を理解し、日本の法律家が法整備支援を行う意義を考えるとともに、授業を通じて得た知見を法整備支援の実践に活用できる能力及びその知見を応用し国内外におけるさまざまな法的問題の解決を図る能力を身につけることを目的とする。 日本法の専門家になろうとする法科大学院生にとって、法律や司法制度の存在意義を理解し、日本法及び日本の司法制度を多角的に捉える視座を得ることは、極めて有益である。法律や司法制度が整備されていない国で実施されている法整備支援について学ぶことは、法律や司法制度の存在意義を根本から考えることであり、日本法及び日本の司法制度を見つめ直すことにもつながる。 また、法律や司法制度の整備に関する国際協力は、法体系や文化の違いを乗り越え、利益・思惑が異なる多数の利害関係者のコーディネートを図りながら進めなければならない実践的な取組みであり、そのプロセスや教訓を学ぶことは、将来、法の専門家として関係者間の利害を調整しながら問題解決を図り社会に貢献しようとする法科大学院生が身につけるべき知見・ノウハウを身につけることにもつながる。 上記を踏まえ、本授業の到達目標は、社会における法律や司法制度の必要性・重要性を再確認するとともに、日本法及び日本の司法制度の強みや課題を総合的・俯瞰的に理解し把握すること、並びにその知見を前提として法整備支援を実践する際のポイント及び国内外での法律実務における利害関係者間のコーディネーションや問題解決を実践する際のポイントを示すことができるようになることである。 |
授業の概要 | 本授業では、法整備支援の理論と実務について、現状と問題点を総合的に概観した後、法整備支援の実例を取り上げ、その成果と教訓を検討する。実務の検討に当たっては、担当教員(弁護士・元JICA法整備支援アドバイザー・元ベトナム法整備支援プロジェクト長期専門家・元日本弁護士連合会国際交流委員会国際司法支援センター長)の実際の現場での経験をベースに、実践性の高い討論を行う。 本科目は、日本とは異なる社会・文化における法律や司法をとりまく課題を的確に認識し、そこで生じるさまざまな問題をどのように解決していくかを考えることを通じて、ディプロマ・ポリシーにおいて示されている多岐の領域における法律問題を解決できる法律家にとって必要な幅広い知識と適切な問題解決能力を身につけることに寄与する。また、アジア・アフリカの具体的な国々の文化や風土、法・司法制度を学ぶことを通じて、豊かな人間性を涵養するとともに、ディプロマ・ポリシーに示されている「渉外・国際関係ローヤー」の育成にも寄与する。 各自が作成したレポートについては、授業内で内容の分析及びディスカッションを行い、各自が振り返りを行うことができるようにする予定である。 |
講義内容 | 第1回 法整備支援とは何か 第2回 日本政府の法整備支援 第3回 ベトナムにおける法整備支援Ⅰ 第4回 ベトナムにおける法整備支援Ⅱ 第5回 移行経済国(中国、ラオス等)における法整備支援 第6回 カンボジアにおける法整備支援 第7回 紛争影響国(ネパール、東ティモール、アフリカ諸国等)における法整備支援 第8回 平和的な紛争解決に向けた法整備支援 第9回 新興国(インドネシア、ミャンマー等)における法整備支援 第10回 各国政府、国際機関、NGO等による法整備支援 第11回 法整備支援の立案及び実施上の留意点 第12回 法整備支援の理論 第13回 新しいグローバルルールと法整備支援 第14回 法整備支援の課題と展望 第15回 総復習・まとめ等(具体的内容は開講後指示する。) |
評価方法 | 授業への参加状況及びレポート(1回)によって評価する。授業への参加状況に50%、レポートに50%の比重を置く。 授業への参加状況の評価は、各回の授業における意見・コメント・質問の提示、グループワークやグループプレゼンテーションへの貢献の状況等によって行う。また、レポートの評価は、レポートが各回の授業で学んだ内容を反映しているか、法律家が作成する文書として説得的であるかといった視点から行う。 |
テキスト・参考文献等 | (テキスト) 指定しない。 (参考文献) 独立行政法人国際協力機構 『世界を変える日本式「法づくり」:途上国とともに歩む法整備支援』文藝春秋企画出版部、2018年 独立行政法人国際協力機構『課題別指針(法整備支援)』 https://www.jica.go.jp/activities/issues/governance/portal/ku57pq00002kg0uf-att/guidelines_law_2011.pdf 日本弁護士連合会編『法律家の国際協力-日弁連の国際司法支援活動の実践と展望』現代人文社、2012年 鮎京正訓 『法整備支援とは何か 』名古屋大学出版会、2011年 松尾弘『良い統治と法の支配-開発法学の挑戦』日本評論社、2009年 講義において配布する資料 |
科目群 | 基礎法学・外国法・隣接科目群 |
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