授業科目名 | テーマ演習Ⅱ@紛争解決とテクノロジー |
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配当年次 | 2024 |
単位数 | 2単位 |
授業担当教員 | 小林 学 |
履修条件 | 履修者は3年次生に限定する。 |
科目の目的・到達目標 | 急速なテクノロジーの進展を社会生活のいたるところで実感する昨今において、紛争解決システムにおけるテクノロジーの利活用もまた急激な広がりを見せている。これからの実務法曹のなかには、そうしたテクノロジーと没交渉でいられる者などもはや存在しないであろう。そこで、本科目では、紛争解決システムにおいてテクノロジーがいかに浸透しているかについてのリサーチを行い、現状を把握することを目的とする。 もっとも、日進月歩のテクノロジーの進化・発展を追うだけでは、皮相的であることは否めず、普遍的な真理の探究とは程遠いといわざるを得ない。そうしたことから、本科目においては、紛争解決におけるテクノロジーの現状把握およびその課題の検討を通じて、紛争解決の本質は何か、紛争解決手続の基本原理は何か、そして、紛争解決の担い手としての法曹に期待される役割やスキルは何かなどといった根源的な事柄について、履修者各自がそれぞれの気づきを得ることを到達目標とする。 |
授業の概要 | 第1週を除いて、各週のテーマについて、プレゼンテーター(報告者)を選び、「プレゼンテーション+全員によるディスカッション」を主軸として展開する。教員はファシリテーター役に徹する。 |
講義内容 | 第1・2回 出発点としての「正義の総合システム(Planetary System of Justice)」理論 第3・4回 弁護士の紛争予防業務とリーガルテック 第5・6回 弁護士の紛争解決業務とリーガルテック 第7・8回 裁判所におけるテクノロジーの利活用 第9・10回 オンライン紛争解決(ODR)(1)―オンライン調停― 第11・12回 オンライン紛争解決(ODR)(2)―オンライン仲裁― 第13・14回 民事紛争解決手続とテクノロジー(1)―ADR― 第15・16回 民事紛争解決手続とテクノロジー(2)―民事裁判― 第17・18回 民事紛争解決手続とテクノロジー(3)―民事執行(強制執行)― 第19・20回 民事紛争解決手続とテクノロジー(4)―全体像― 第21・22回 紛争類型とテクノロジー(1)―知的財産紛争― 第23・24回 紛争類型とテクノロジー(2)―医事関係紛争― 第25・26回 紛争類型とテクノロジー(3)―その他の紛争― 第27・28回 正義へのユビキタス・アクセスとテクノロジー 第29・30回 総復習・まとめ―期末レポート課題― |
評価方法 | ①プレゼンテーション20%、②ディスカッション10%、③期末レポート60%、④取組みの姿勢10%の割合で評価する。 |
テキスト・参考文献等 | (テキスト) 特に指定しない。 (参考文献) ①平田勇人『AIによる紛争解決支援』(成文堂、2018年) ②(株)FRONTEO編著『リーガルテック活用の最前線―AI・IT技術が法務を変える―』(ぎょうせい、2020年) ③高林淳編著『リーガルテック・AIの実務―デジタル・トランスフォーメーション(DX)時代の企業法務改革―』(商事法務、2020年) ④出口雅久「オンライン紛争解決手段 ODR の現状と課題」同志社法學73巻6号(2021年)1083-1097頁 ⑤小林学「オンライン法廷および ODR, ならびに, リーガルテック―ソーシャル・ディスタンシング時代における司法アクセスの新様式―」中央ロー・ジャーナル17巻4号(2021年)3-21頁 ⑥渡邊真由「民事紛争解決におけるイノベーションとしての ODR(上)(下)―ODR の技術とプロセスのデザイン―」NBL1219号(2022年)43-51頁・1222号(2022年)50-62頁 ⑦石原遥平=根駿人「デジタル技術によるオンライン紛争解決 ODR の実例と活用可能性」ビジネス法務22巻9号(2022年)130-134頁 ⑧大屋雄裕ほか「〈特集〉裁判手続のIT化のこれから・市民にとって利用しやすい裁判とは (上)(下)―日弁連主催・第 29 回司法シンポジウム 民事裁判手続のIT化とこれからの司法 第 4 部 パネルディスカッション(前半)(後半)―」判例時報2511号(2022年)126-135頁・2512号(2022年)101-109頁 ⑨池邊摩依「証人尋問の種々の方式への当事者公開主義からの考察―民事裁判手続のIT化を見据えて―」熊本法学154号(2022年)1-39頁 ⑩川嶋四郎「『民事裁判のICT化』と訴訟記録の閲覧等―『民事訴訟法 (IT化関係) 等の改正に関する中間試案』を契機として―」同志社法學73巻7号(2022年)1953-2004頁 ⑪角田美穂子ほか編著『リーガルイノベーション入門 』(弘文堂、2022年) ⑫山本浩美「法定審理期間訴訟手続の創設について」比較法制研究(国士舘大学)45号(2022年)1-67頁 ⑬小塚荘一郎「民事判決のオープンデータ化と民事司法制度の将来」情報法制研究11号(2022年)3-14頁 ⑭渡邊真由「AIはオンライン紛争解決で活用できるか―米国・カナダで広がる 司法への人工知能(AI)応用―」NII Today 97号(2022年) 《https://www.nii.ac.jp/today/upload/NII_Today97.pdf》 ⑮佐藤康憲「家事事件手続のデジタル化の 現状と課題」法律のひろば76巻4号(2023年)32-42頁 ⑯鈴木敦士「集合訴訟制度の今後の発展をどう考えるか」生活協同組合研究566号(2023年)21-28頁 ⑰竹下啓介「国境を越える紛争の解決と司法のIT化―渉外事案についての民事裁判におけるITの利用可能性」法の支配208号(2023年)98-112頁 ⑱橋爪信「民事裁判のIT化―裁判所における現行法上の取組と運用―」法の支配208号(2023年)52-61頁 ⑲日下部真治「民事裁判のIT化―弁護士の立場から―」法の支配208号(2023年)62-74頁 ⑳垣内秀介「民事裁判手続IT化の全体像と到達点」金融法務事情70巻15号(2022年)8-15頁 ㉑上田竹志「民事訴訟法改正―IT 化とその理論的問題」法学セミナー68巻1号(2023年)30-35頁 ㉒太田勝造「裁判管轄合意・仲裁地合意の『地の利』評価が示唆するAI 支援システムに対する人々の態度」法律論叢95巻6号(2023年)47-71頁 ㉓長谷部由起子「民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続のIT化―中間試案から要綱案まで―」ジュリスト1581号(2023年)70-75頁 ㉔山本和彦『民事裁判手続のIT化』(弘文堂、2023年) ㉕松尾剛行『ChatGPTと法律実務―AIとリーガルテックがひらく弁護士/法務の未来―』(弘文堂、2023年) ㉖小林学「ODRにおけるデュー・プロセスの視点」JCAジャーナル71巻2号(2024年)5-10頁 |
科目群 | 演習 |
サブタイトル | 紛争解決とテクノロジー |