授業科目名 | 刑法Ⅰ |
---|---|
配当年次 | 2024 |
単位数 | 3単位 |
授業担当教員 | 井田 良 |
履修条件 | なし。 |
科目の目的・到達目標 | 〔目的〕 受講者が、刑法の総論と各論の両方にわたり、重要な基礎的知識を体系的に修得するとともに、2年次以降における学修の積み上げを可能とするだけの柔軟な法的思考力・応用力を身に付けること。 〔到達目標〕 履修後には、受講者において、刑法の基本的な考え方、実務を支配している重要判例、そして主要な学説を、それらの合理性・限界等を含め、充分に把握し、それらを自分の言葉で他者に説明できるようになること。 なお、Cplusにおいて、科目ごとの到達目標を掲げているので、自学自習を含めて各自が1年次の終わりまでに理解しておくべき事項を確実に修得することを目ざし、計画的な学修を進めるよう努めてほしい。 |
授業の概要 | 犯罪と刑罰に関する刑法は、種々の法律の中で重要な位置を占めている。人々が犯罪に遭うことを不安に思うことなく、平穏に生活できるようにすることは法秩序の基本的任務であるが、他方で、市民が国家刑罰権の不適正な行使から自由であることは、法治国家が保障すべき不可欠の事柄である。刑法は、その両面で実は相当に行き届いた配慮をしているが、法律家がそのことを正確に理解し、バランスのとれた体系的認識に高めなければ、折角の配慮も活きてこない。また、刑法の規定の文言には現れない、実務における運用の知恵にも学ぶべきものがきわめて多い。さらには、社会の進展から遅れた刑法の限界を認識し、法改正に繋げることも法律家にとり重要な課題である。この授業は、こうした基本的認識に立ち、法科大学院における今後の学修の基礎を築き、固めることを狙いとして着実な学修を促そうとするものである。 |
講義内容 | 第1回 刑法の基礎・罪刑法定主義 第2回 犯罪論の全体像 第3回 因果関係① 第4回 因果関係② 第5回 不作為犯 第6回 違法性の基本問題 第7回 正当防衛① 第8回 正当防衛② 第9回 緊急避難 第10回 正当行為・被害者の同意 第11回 責任論の基礎・責任能力 第12回 故意 第13回 錯誤① 第14回 錯誤② 第15回 過失① 第16回 過失② 第17回 未遂犯① 第18回 未遂犯② 第19回 共犯論の基礎 第20回 間接正犯 第21回 共犯の処罰根拠・共犯の従属性 第22回 共同正犯・教唆犯・幇助犯 第23回 共犯論の諸問題① 第24回 共犯論の諸問題② 第25回 共犯論の諸問題③ 第26回 罪数 第27回 刑罰の基本問題 第28回 刑法の適用範囲 第29回 生命に対する罪 第30回 身体に対する罪 第31回 自由に対する罪 第32回 秘密・名誉に対する罪、信用・業務に対する罪 第33回 財産犯の基本・窃盗罪 第34回 親族相盗例・強盗罪 第35回 詐欺罪・恐喝罪 第36回 横領罪・背任罪 第37回 盗品等に関与する罪・毀棄罪 第38回 公共危険罪 第39回 取引の安全に対する罪 第40回 風俗に対する罪・国家の存立に対する罪 第41回 国家の作用に対する罪① 第42回 国家の作用に対する罪② 第43~45回 まとめ |
評価方法 | ①授業への参加状況(発言等)、②授業中の担当者の質問に対する解答の有無・内容、③2回実施する学修到達度テストの出来具合、④全講義終了後の期末試験の成績を総合的に「到達目標」に照らして評価し、①から③に48%(①から③は均等に評価する)、④に52%の比重を置く。 |
テキスト・参考文献等 | テキストは特に指定しないが、必携の教材として、井田良=髙橋直哉ほか『刑法ポケット判例集』(弘文堂、2019年)を利用していただきたい。 そのほか、入門書として、井田良『入門刑法学・総論〔第2版〕』および『入門刑法学・各論〔第2版〕』(有斐閣、2018年)等があり、自学自習用の教科書としては、①大塚裕史ほか『基本刑法Ⅰ総論(第3版)』および『基本刑法Ⅱ各論(第3版)』(日本評論社、2023年)、②山口厚『刑法(第3版)』(有斐閣、2015年)等がある。 より深い理解を得るための体系書としては、井田良『講義刑法学・総論(第2版)』および『講義刑法学・各論(第3版)』(有斐閣、2018年・2023年)、高橋則夫『刑法総論(第5版)』および『刑法各論(第4版)』(成文堂、2022年)、西田典之『刑法総論(第3版)』および『刑法各論(第7版)』(弘文堂、2019年・2018年)、山口厚『刑法総論(第3版)』および『刑法各論(第2版)』(有斐閣、2016年・2010年)等がある。 また、注釈書(コンメンタール)として、前田雅英ほか編『条解刑法(第4版補訂版)』(弘文堂、2023年)、判例教材として、佐伯仁志=橋爪隆編『刑法判例百選Ⅰ総論(第8版)』および『刑法判例百選Ⅱ各論(第8版)』(有斐閣、2020年)がある。 |
科目群 | 法律基本科目群 |
サブタイトル |