授業科目名 | 英米法総論 |
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配当年次 | 2024 |
単位数 | 2単位 |
授業担当教員 | 佐藤 信行 |
履修条件 | 特になし。 |
科目の目的・到達目標 | 本科目は、英米法未修者を主たる対象とする英米法入門講座であり、イギリスにおける法形成の過程とアメリカ合衆国憲法を主たる素材としながら、他の英米法関連科目を履修する際の土台となる基礎知識の修得を目的とする。また、外国法と日本法の比較の手法による法解釈の基礎能力を涵養することを、併せて科目の目的とする。すなわち、日本法をより深く理解するためには、外国法との比較が有為な手法であることはいうまでもないが、本講では、外国法の中でも、ヨーロッパ大陸法とともに資本主義法系の主要部分を構成し、かつ、日本法に強い影響を与えている英米法について、その基本的特徴を理解した上で、特に合衆国憲法が日本法憲法に与えている影響を説明できる能力の涵養がこの科目の目的の一つである。 到達目標は、次のとおりである。イギリスにおける判例法主義と先例拘束性の原理、コモン・ローとエクィティの二元的判例法制度、議会主権の原理と制定法の機能についてその基本的構造とアメリカ法への影響について説明することができること。また、それを踏まえて、日本法の母法の一つであるアメリカ合衆国法に関して、判例法主義と先例拘束性の原理、コモン・ローとエクィティの二元的判例法制度、連邦制度、司法審査制度(判例法を通じた人権の発展を含む。)について説明するとともに、その日本法への影響について、両国の具体的な制度や判例を示して説明することができること。 |
授業の概要 | まず、英米法がその発祥の地イギリスにおいてどのように形成されてきたかを歴史的にフォローしながら、イギリス法を特徴づける法制度や法概念について検討する。次いで、植民地時代に継受したイギリス法をベースとしながら、独自の発展を遂げてきたアメリカ法に目を転じ、わが国の実定法制度にも強い影響を与えている合衆国憲法を中心として、判例による法発展のダイナミズムの把握に努める。 社会のグローバル化は極めて広範な領域に及んでおり、外国法の制度や思考方式を学ぶことは、日本法を相対化して理解することに資するという観点から、ディプロマ・ポリシーにいう主に「渉外・国際関係法ローヤー」や「ビジネス・ローヤー」となることを志望する者はもとより、リーガル・ジェネラリストを志望する者等全ての学生の学修に資するように各論的話題の設定を行う。 |
講義内容 | 第1・2回 現代日本法と世界の主要法体系 第3~6回 イギリスにおける国家法の形成 第7・8回 イギリス法に対するアメリカ法の独自性:連邦制度・硬性憲法・違憲審査制度 第9・10回 合衆国における違憲審査制度の誕生 第11・12回 立法権抑制システムの国際比較 第13・14回 アメリカ型違憲審査制度の問題点と連邦裁判所の対応 第15~19回 司法の自己抑制(1):事件性の要件・当事者適格・厳格な必要性の原則 第20~22回 司法の自己抑制(2):伝統的自己抑制理論の動揺 第23・24回 合衆国憲法と人権保障(1):権利章典(1789)の誕生とその限界 第25・26回 合衆国憲法と人権保障(2):第14修正の制定と権利章典との合一化 第27・28回 合衆国憲法と人権保障(3):平等保護条項の展開 第29・30回 講義のまとめ |
評価方法 | 授業における発言等の参加状況(30%)と、学期末に実施する論述試験(70%)の結果に基づいて、総合的に評価する。 総合評価に際しては、到達目標に掲げた事項について理解した上で、具体的設問に当該理解を適用して、妥当な結論を導くことができたかを評価する。 |
テキスト・参考文献等 | (テキスト) 開講時に担当教員作成の印刷教材を配布する。 (参考文献) 松井茂記『アメリカ憲法入門(第9版)』(有斐閣、2023年)、樋口範雄『アメリカ憲法(第2版)』(弘文堂、2021年)、阿川尚之『憲法で読むアメリカ史(全)』(ちくま学芸文庫、2013年)、田中英夫他編『BASIC 英米法辞典』(東京大学出版会、1993年)、樋口範雄他編『アメリカ法判例百選』別冊ジュリスト(有斐閣、2012年)、藤倉皓一郎他編『英米判例百選(第3版)』別冊ジュリスト(有斐閣、1996年)およびDan Rosen et al、 AN INTRODUCTION TO AMERICAN LAW、3rd ed.(Carolina Academic Press 、2017年) |
科目群 | 基礎法学・外国法・隣接科目群 |
サブタイトル |