授業科目名 | 民事執行保全法 |
---|---|
配当年次 | 2024 |
単位数 | 2単位 |
授業担当教員 | 小林 明彦 |
履修条件 | なし。 |
科目の目的・到達目標 | 民事執行及び民事保全は、教科書で学んだ実体法上の権利を現実社会で実現する手段であるから、実体法の理解と車の両輪の関係にある。特に当事者の意識は、裁判における勝敗だけでなく、そこで得られた結論の実現可能性や、そこに至るまでの時間、労力、費用等を含めた総体の中で形成されるのであるから、この権利実現過程に対する正確な理解がなければ、社会の中で私法上の権利を適切に取り扱うことができない。 また、一般の民事訴訟手続が二当事者対立構造を前提として構築されるのに対し、実社会では複数当事者によるパイの奪い合いが行われるのであるから、競合関係に立つ他の当事者との法律関係がいかなる規律をうけるかについて手続的裏付けから把握することは、社会における法規範の役割を理解するうえでもきわめて重要性が高い。 そこでこの講義では、単なる手続の説明にとどまることなく、実体法の理解を前提として、民事執行手続と民事保全手続が実体上の権利の実現にどのような助力を与えようとしているのか、手続保障や裁判所の後見的機能等その手続の中での価値判断にはどういったものがあるのか、といった法社会の広がり・ダイナミズムの中で、私法上の権利の実現過程を自分のものにすることを目的とする。 なお、民事執行と民事保全を通じて私法上の権利を理解することは、単に裁判所を通じた法律業務に役立つだけでなく、資産流動化取引やプロジェクトファイナンスに代表されるような複雑かつ精緻な企業法務において正確な契約条項を作成できる能力を磨くことでもある。したがって、こうした分野での対応能力を身につけることを到達目標とする。 |
授業の概要 | 原則的には、全体を3つのクールに分け、第1クールでは民事執行と民事保全の概要について講義形式中心で進める。第2クールでは、第1クールで把握した概要を書式やテキストで確認しながら、ときにディベート等を入れながら理解の定着を図る。第3クールでは、民事実体法との架橋が必要となる事例問題を中心に、双方向形式で応用力を養う。執行法と保全法は、常に並行して関連付けながら進めていく。進行の詳細は、第1回目の授業の際、説明する。 |
講義内容 | 第1・2回 第1クール 執行・保全の概論その1(不動産強制競売と不動産仮差押え) 第3・4回 執行・保全の概論その2(差押えの意義) 第5・6回 執行・保全の概論その3(債権執行) 第7・8回 執行・保全の概論その4(執行文、執行力の拡張と仮処分) 第9・10回 執行・保全の概論その5(係争物仮処分) 第11・12回 第2クール 仮差押 第13・14回 係争物仮処分 第15・16回 民事保全手続における救済等 第17・18回 民事執行手続の流れと救済等その1 第19・20回 民事執行手続の流れと救済等その2 第21~28回 第3クール ケーススタディ 第29・30回 総復習・まとめ |
評価方法 | 発言等の授業への参加状況20%、期末試験80%として評価する。ただし期末試験の設題は、複数問とすること等、総合評価が可能となるような工夫をする。なお、履修状況によっては期末試験に代えてレポート課題とすることがある。 |
テキスト・参考文献等 | 基本としては司法研修所編民事弁護教材『民事執行』と同『民事保全』をテキストとする(購入方法は授業開始後に指示する)。 他に、教員作成のレジュメや文献的資料、書式例等の資料を配布する。 |
科目群 | 展開・先端科目群 |
サブタイトル |