授業科目名 | 3群特講Ⅱ@法整備支援 |
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配当年次 | 2024 |
単位数 | 2単位 |
授業担当教員 | 石岡 修 |
履修条件 | 特になし。 |
科目の目的・到達目標 | この科目は、日本を含む各国政府やNGO等により活発に行われている法整備支援について、支援の現場の具体的な実践例を通して、法整備支援の実態と意義を理解することを目的とする。 法整備支援は単なる法の移植ではない。むしろ、今日の法整備支援は、法の移植の失敗と反省に立脚している。そこでは支援対象国の法令、裁判実務、関連する制度等の理解はもとより、背後にある社会(社会規範、教育、言語、宗教、民族構成等)の理解も不可欠であり、さらには新たな制度が社会の中でソフトランディングできるようにするための配慮も欠かせない。そこで必要とされる能力は、幅広い知識に裏打ちされた的確な問題解決能力という、ディプロマ・ポリシーでも言及されている、法曹が日々の実務の中で求められる能力とオーバーラップする。また、我が国の実定法が置かれている状況と異なる状況下における立法等の試みを学ぶことは、対応する我が国の実定法をより深く、相対的に理解することにつながる。 このように、学生にとって、法整備支援を学ぶことから得られるものは多い。その一方で、本授業の方法は「授業の概要」に記載したとおり、法整備支援を網羅的・体系的に解説したり、一般的に扱ったりするものではなく、極めて具体的であるが限定的な法整備支援の実践例を使ったものとしている。そのため、前段記載の「幅広い知識に裏打ちされた的確な問題解決能力」や「我が国の実定法をより深く、相対的に理解すること」を、「到達目標」の先にある「上位目標」と位置付け、本授業の「到達目標」は、「法整備支援の具体的な実践例に触れ、それを用いて法整備支援の実態と意義を多角的に説明することができること」とする。 |
授業の概要 | 法整備支援は、支援する側も支援される側も多様であり、実際に行われている方法も多岐に渡る。また、法整備支援を巡る理論も、授業の後半で扱うように、発展の過程にある。そのため、法整備支援を網羅的・体系的に解説することは困難であるし、法整備支援を一般的に語ると、抽象的になりがちである。他方で、法整備支援の具体的な実践例は、具体的であるがゆえにイメージしやすく、また、知的好奇心をかき立てるエピソードに富んでいる。 そこで、本授業では、講師が経験したラオスにおける民法典起草支援等の極めて具体的な実践例を使って、法整備支援の様々な側面に光を当てるとともに、そのような法整備支援の具体例を使って、学生にとって馴染みの深い民法や民事訴訟法の制度や概念のいくつかについて理解を深める。これは、法整備支援としては限定されたミクロの話を起点にしつつ、そこから周囲に光を当て、その延長線上にいわば影のように浮かび上がるものとして、学生が自分なりの法整備支援像をイメージできるようにするものである。 本授業で実際に行うのは、上記のとおり、具体的な実践例を使って、法整備支援の様々な側面に光を当てること及び民法や民事訴訟法の制度や概念のいくつかについて理解を深めることであり、その結果として学生が自分なりの法整備支援像をイメージできるようになるところまでである。その先にある、法整備支援の真の実態については、「科目の目的・到達目標」に記載の「上位目標」と同様に、本授業を契機として、学生が実務の中で各自追求することが期待される。 |
講義内容 | 第1回 オリエンテーション 第2回 法整備支援の背景 第3回 法整備支援と法社会学(1) 第4回 法整備支援と法社会学(2) 第5回 法整備支援とODAプロジェクト 第6回 法整備支援と民法(1) 第7回 法整備支援と民法(2) 第8回 法整備支援と民法(3) 第9回 法整備支援と民事訴訟法(1) 第10回 法整備支援と民事訴訟法(2) 第11回 法整備支援と民事訴訟法(3) 第12回 法整備支援の理論(1) 第13回 法整備支援の理論(2) 第14回 法整備支援の理論(3) 第15回 総復習・まとめ等(具体的内容は開講後指示する。) |
評価方法 | 期末レポート70%、平常点30%(授業への参加や発言状況等を考慮する)。 |
テキスト・参考文献等 | (テキスト) 指定しない。 (参考文献) 松尾弘『良い統治と法の支配-開発法学の挑戦』日本評論社、2009年 松尾弘『開発法学の基礎理論−良い統治のための法律学』勁草書房、2012年 鮎京正訓 『法整備支援とは何か 』名古屋大学出版会、2011年 独立行政法人国際協力機構 『世界を変える日本式「法づくり」:途上国とともに歩む法整備支援』文藝春秋企画出版部、2018年 独立行政法人国際協力機構『課題別指針(法整備支援)』 https://www.jica.go.jp/activities/issues/governance/portal/ku57pq00002kg0uf-att/guidelines_law_2011.pdf 日本弁護士連合会編『法律家の国際協力-日弁連の国際司法支援活動の実践と展望』現代人文社、2012年 講義において配布する資料 |
科目群 | 基礎法学・外国法・隣接科目群 |
サブタイトル |