授業科目名 | 環境法Ⅰ(総論) |
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配当年次 | 2024 |
単位数 | 2単位 |
授業担当教員 | 原島 良成 |
履修条件 | 特になし。 |
科目の目的・到達目標 | 当科目では、環境保護訴訟の史的展開を跡付けることを通じて、受講者が、環境保護の法理論が生成してきた必然性(なぜそれが必要とされたか)を理解し、世代間倫理に根差した環境法ドクトリンのあり方を考察することを目的とする。 それは、訴訟による環境保護の限界を問い、欠落部分を補正する法政策を展望する作業となる。当科目では前者に重きを置き、①公害法論の到達点を事例に即して説明し、②期待される行政法的対応を述べつつその(訴訟による実現の)困難性にかかる法解釈論を提示できるようになることが、受講者の到達目標となる。加えて、法政策論に重きを置く環境法II履修に向けて、③環境保護法が備えるべき特性を認識することも、発展的な到達目標となる。 |
授業の概要 | 公害法の時代から生活環境保護の時代にかけての民事裁判例の流れを講義全体の縦糸としつつ、行政の環境管理責任に関する裁判例を横糸としてそこに織り込み、環境法のgeneral theoryというべき法解釈の模様を浮かび上がらせる。 こうした講義は、ディプロマ・ポリシーに照らし、個別環境リスクに対処すると共に環境ビジネスを牽引する「ビジネス・ローヤー」を育成すること、個別ビジネスを規整する環境保護法を立案しあるいはその執行に対抗する「公共政策ローヤー」を育成すること、加えてそうした法律家と協力して科学的知見の蓄積を訴訟や法政策に活用する「先端科学技術ローヤー」を育成することを、強く意識して実施される。 |
講義内容 | 第1・2回(第1週) [講義の方針と学習方法] 第3・4回(第2週) [公害法論の生成と展開(概説)] 第5・6回(第3週) [政府の公害発生責任(営造物責任)] 第7・8回(第4週) [政府の公害防止責任(保護エラー)] 第9・10回(第5週) [民事差止による公害防止1] 第11・12回(第6週) [民事差止による公害防止2] 第13・14回(第7週) [公害法論の成果と限界1] 第15・16回(第8週) [公害法論の成果と限界2] 第17・18回(第9週) [環境行政訴訟(概説)] 第19・20回(第10週) [環境利益原告の訴訟追行1] 第21・22回(第11週) [環境利益原告の訴訟追行2] 第23・24回(第12週) [環境行政法における行政裁量] 第25・26回(第13週) [住民訴訟による環境保護] 第27・28回(第14週) [環境公益の訴訟による実現] 第29・30回(第15週) [期末試験または総復習の時間] |
評価方法 | 授業中の発言や参加状況等20%、中間レポート20%、期末試験60%の割合で評価する。履修者少数の場合は、期末試験をレポートに変更することがある。 中間レポートは講義で取り扱う裁判例の分析とする。 期末試験においては、憲法・民法・行政法の一般的知識ではなく、あくまで環境法事案の特性を理解し、適切な訴訟選択の下で環境実体法論を展開できるかどうかが問われる。環境法とは何か、悩みながら受講して欲しい。 |
テキスト・参考文献等 | (テキスト) 大塚直=北村喜宣編『環境法判例百選〔第3版〕』有斐閣、2018年 (参考文献) 北村喜宣『環境法〔第6版〕』弘文堂、2023年 越智敏裕『環境訴訟法〔第2版〕』日本評論社、2020年 大塚直『環境法BASIC〔第4版〕』有斐閣、2023年 ほか、講義中に適宜紹介する。 |
科目群 | 展開・先端科目群 |
サブタイトル |