授業科目名 | 裁判外紛争解決制度 |
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配当年次 | 3年次 |
単位数 | 2単位 |
授業担当教員 | 小林 学 |
履修条件 | 特になし。 |
科目の目的・到達目標 | 「紛争」は(試験問題のように)アプリオリに存在するのではなく、人により形づくられる。法専門職は法の支配のもとにおける「紛争のデザイナー」であり、依頼者に寄り添い、相手方と向き合いながら、紛争の解決に向けて支援する「伴走者」である。また、人はそれぞれの「物語」を生きているが、紛争はその「物語」に訪れる危機であり、法専門職は危機に陥った「物語の再構築」(=立ち直り、あるいは生き直し)を支援する。そのような支援を通じて、法の支配の拡充と多様な人々の社会における共生の実現を担う。そのような役割を果たすために、法専門職は紛争解決の多様なプロセスを熟知し、より良いプロセスを考案し、直面している紛争に適合的なプロセスをデザインし、説明し、遂行する必要がある。この授業はそのような法専門職としての能力を身につけることを目的とする。この授業は、紛争解決のプロセスに豊かな選択肢を与える「裁判外紛争解決(ADR [Alternative Dispute Resolution])」について、法システム全体の中での位置付け、それを支える理念や特質・機能、和解仲介・調停・仲裁など各種プロセスのあり方、また、その担い手いかん(法専門職の役割を含め)、及び修得すべき対話促進などの技術について、基本的な知識や素養を修得すること、並びに、それらを踏まえて紛争解決における将来の課題を見据え、かつ、それに取り組む「紛争解決のデザイナー」としての法専門職の基本的な力を養うことを、到達目標とする。 |
授業の概要 | 法システムの全体像と裁判外紛争解決に関する総論的検討、法専門職の役割と具体的なプラクティス、相談・和解仲介・調停・仲裁などのプロセスのあり方を、全般的に検討する。映像視聴、スクリプトによる実演、対人ゲーム、模擬和解仲介・模擬仲裁弁論のロールプレイと振り返りなどを行い、紛争解決のプロセスやその前提となる対人コミュニケーションのあり方を体験的に学修する。なお、教室でのディスカッションについて、グループワークやプレゼンテーション、ファシリテーション実習などを行い、これからの実務家に求められる協働作業やプレゼン、会議の進行などの理念と技術についても学ぶ機会を提供する。 具体的には、各週のテーマについて、プレゼンテーター(報告者)を選び、「プレゼンテーション+全員によるディスカッション」を主軸として展開する。教員はファシリテーター役に徹する。 |
講義内容 | 第1回 紛争解決のプロセスと法システム全体における位置付け 第2回 ADRの歴史と概要―正義へのアクセス運動 第3回 中立的第三者による裁断・評価・説得・対話促進・変容 第4回 ADRと法専門職の役割 第5回 法律相談から調停申し立てまで 第6回 調停のイントロダクション 第7回 調停の運営~同席方式と別席交互方式、代理人の関与の仕方 第8回 模擬調停 第9回 ロールプレイの振り返り 第10回 調停と訴訟との連携など 第11回 調停の成立と履行 第12回 仲裁の利用と仲裁契約、仲裁の手続、実体的判断基準、仲裁判断の効力、執行 第13回 テクノロジーと紛争解決(1)―ODR― 第14回 テクノロジーと紛争解決(2)―裁判所のIT化とリーガルテック― 第15回 総復習・まとめなど―期末レポート課題― |
評価方法 | ①プレゼンテーション20%、②ディスカッション10%、③期末レポート60%、④取組みの姿勢10%の割合で評価する。 |
テキスト・参考文献等 | (テキスト) 特に指定しない。 (参考文献) 小島武司・伊藤眞編『裁判外紛争処理法』(有斐閣、1998年)(絶版、図書室にあり) 小島武司『裁判外紛争処理と法の支配』(有斐閣、2000年)(絶版、図書室にあり) 小島武司『ADR・仲裁法教室』(有斐閣、2001年)(絶版、図書室にあり) 小島武司編『ADRの実際と理論Ⅰ・Ⅱ』(中央大学出版部、2003年・2005年) E・シャーマン(大村雅彦編訳)『ADRと民事訴訟』(中央大学出版部、1998年) レビン小林久子『調停者ハンドブック』(信山社、1998年) 廣田尚久『紛争解決学(新版増補)』(信山社、2002年) 井上治典・佐藤彰一共編『現代調停の技法』(判例タイムズ社、1999年) 山本和彦・山田文『ADR仲裁法(第2版)』(日本評論社、2015年)(絶版、図書室にあり。電子書籍販売あり) 和田仁孝『ADR-理論と実践』(有斐閣、2007年)(品切、図書室にあり) 和田仁孝ほか『ADR/メディエーションの理論と臨床技法』(北大路書房、2020年) 第二東京弁護士会『ADR解決事例・精選77』(第一法規、2007年) 日本弁護士連合会ADRセンター編『紛争解決手段としてのADR』(弘文堂、2010年) ジョン・ウィンズレイドほか『ナラティヴ・メディエーション』(北大路書房、2010年) 大澤恒夫『法的対話論』(信山社、2004年) 大澤恒夫『対話が創る弁護士活動』(信山社、2011年) 小島武司=猪股孝史『仲裁法』(日本評論社、2014年)(品切、図書室にあり) 榎本修『ローヤリングの考え方』(名古屋大学出版会、2022年) 中村芳彦ほか『リーガル・カウンセリングの理論と臨床技法』(北大路書房、2022年) 山本和彦『民事裁判手続のIT化』(弘文堂、2023年)など |
科目群 | 展開・先端科目群 |
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