授業科目名 | 1群特講B@憲法と憲法保障 |
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配当年次 | 2・3年次 |
単位数 | 1単位 |
授業担当教員 | 工藤 達朗 |
履修条件 | 「公法総合Ⅱ」の単位を修得済みであること。 |
科目の目的・到達目標 | 法科大学院における皆さんは、これまでの憲法の勉強を、将来法曹となったときに役立つ憲法解釈論(人権論や憲法訴訟論)を中心に行っていると思う。それに対して、この科目は、司法試験問題や日常的な紛争解決の解釈論に直接役立つとはいえないかもしれないが、憲法の概念や立憲主義など、憲法解釈の基礎となる思想や理論を概観することで、解釈の基礎にある憲法の精神を体得することを目的とする。今後皆さんが対立する憲法の解釈論のいずれを選ぶべきか迷ったとき、学説の共通の基礎理論に立ち返って考え、こちらの学説をこの理由で採るべきだ、といえるようになることを到達目標とする。 |
授業の概要 | 憲法のどの教科書にも必ず載っているが、法科大学院の授業ではほとんど取り上げられることのない領域がある。それが憲法の基礎理論にあたる部分である。学生の中には、憲法の基礎理論に興味がありながら、これまでは司法試験の勉強を優先して、この領域を勉強できなかった人が一定数いるのではないか、と予想される。とくに3年生には、司法試験が終わった後にゆっくり(試験勉強ではない)勉強をしたい人がいると思われる。この授業では、代表的なテキストである芦部・憲法の第1章「憲法と立憲主義」と最終章の第18章「憲法の保障」を中心に取り上げ、法科大学院の普段の授業では扱わない基礎的問題を中心に考えることにする(芦部・憲法の第18章は違憲審査制を含む。ここは皆さんよく知っているところかもしれないが、一応概観することにする)。 |
講義内容 | 第1・2回(第1週): 憲法の概念と特質――憲法の法源、憲法の効力範囲を含む 第3・4回(第2週): 立憲主義の概念と歴史 第5・6回(第3週): 憲法保障の類型――抵抗権と国家緊急権 第7・8回(第4週): 憲法の最高法規性と違憲審査制の類型 第9・10回(第5週): 憲法訴訟の理論と技術Ⅰ――付随的違憲審査制の特質ほか 第11・12回(第6週): 憲法訴訟の理論と技術Ⅱ+最高裁判所の過重負担と制度改革論 第13・14回(第7週): 憲法の改正と憲法の変遷 第15回:総復習・まとめ等(具体的内容は、開講後指示する) |
評価方法 | 最終試験=70%と、平常点(出席、授業内での発言および態度)=30%に基づいて行う。 |
テキスト・参考文献等 | <参考文献> ① 芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法(第8版)』(岩波書店、2023年) ② 渡辺康行ほか『憲法Ⅱ総論・統治(第2版)』(日本評論社、2025年) ①の第1章・第18章をベースに、それを②の第1章・第6章・第12章等で補充しつつ進める予定である。 |
科目群 | 法律基本科目群 |
サブタイトル |