授業科目名 | テーマ演習Ⅰ@英米加と日本の比較憲法 |
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配当年次 | 2024 |
単位数 | 1単位 |
授業担当教員 | 佐藤 信行 |
履修条件 | 特になし。 |
科目の目的・到達目標 | 現実の社会統制の規範である法、とりわけ憲法については、「仮説に基づいて改正や解釈を行い、社会実験で妥当性を確認する」という手法を用いることが極めて困難である。そこで、他の法域や歴史に学ぶという手法が多用されることになるが、この科目では、英米法諸国のうちイギリス、アメリカ合衆国及びカナダの憲法の基本構造を理解すると共に、比較憲法の手法を用いて、日本国憲法をより高度に理解することを目的とする。 具体的な到達目標は、違憲審査制度及び個別人権の解釈の2領域について、英米加法と日本法のアプローチの違いを説明し、これを基礎とする日本法の改革を提案する能力を身につけることである。 |
授業の概要 | 近代的憲法の嚆矢として軟性憲法と議会主権原則に基づく原理を確立したイギリス憲法は、その植民地拡大に伴って世界に広がったが、今日ほとんどの国では、議会立法に対する違憲審査制度が導入する等の変容を受けている。この科目では、イギリス法を出発点として学んだ上で、これを継受しつつ大きく変容させているアメリカ合衆国及びカナダの憲法を概観し、イギリス的議院内閣制とアメリカ的違憲審査制度の双方を継受している日本法のあり方を考える。 とりわけ、イギリス法と極めて近い制度を維持していたカナダは、アメリカ法及び日本法の抱える課題を踏まえて、1982年にアメリカ・日本型違憲立法審査制度を基本としつつ、これを多くの点で修正した憲法改正を行っているが、その憲法解釈や運用には、注目すべき点が多くみられる。従来の日本における比較憲法は、アメリカ合衆国憲法に傾斜する傾向があったが、この科目では、その限界や課題についても検討したいと考えている。 この科目では、主としてディプロマ・ポリシーにいう公共政策ローヤー、渉外・国際関係法ローヤー及びビジネス・ローヤーとなることを志望する者を念頭に授業を組み立てるが、社会のグローバル化は極めて広範な領域に及んでおり、外国法の制度や思考方式を学ぶことは、日本法を相対化して理解することに資するという観点から、リーガル・ジェネラリストを志望する者等全ての学生の学修に資するように各論的話題の設定を行う。 |
講義内容 | 第1回 イギリス法の基礎(1) イギリス革命まで 第2回 イギリス法の基礎(2) イギリス革命とイギリス憲法 第3回 アメリカにおけるイギリス法の変容 第4回 アメリカ合衆国における連邦最高裁判所の役割 第5回 カナダにおけるイギリス法の伝統 第6回 カナダにおける連邦制と人権保障 第7回 1982年カナダ憲法の特徴(1) 第8回 1982年カナダ憲法の特徴(2) 第9回 英米加日における人権保障比較(その1) 第10回 英米加日における人権保障比較(その2) 第11回 英米加日における人権保障比較(その3) 第12回 英米加日における人権保障比較(その4) 第13回 英米加日における人権保障比較(その5) 第14回 英米加日における人権保障比較(その6) 第15回 総復習・まとめ |
評価方法 | 平常点(授業への参加状況、発言、プレゼン等)50%、期末レポート(日本語で作成する)50%で評価する。 |
テキスト・参考文献等 | (テキスト) 日本カナダ学会編『現代カナダを知るための60章(第2版)』明石書店、2021年 他に担当教員作成の資料を配付する。 (参考文献) 日本カナダ学会編『新版 史料が語るカナダ1535-2007』有斐閣、2008年 |
科目群 | 演習 |
サブタイトル | 英米加と日本の比較憲法 |