授業科目名 | 民事訴訟実務の基礎 |
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配当年次 | 2024 |
単位数 | 2単位 |
授業担当教員 | 酒井 直樹・谷地 伸之 |
履修条件 | 「民法I~Ⅵ」及び「民事訴訟法」(1年次配当)を単位修得済みであること。 |
科目の目的・到達目標 | この科目の目的は、既に修得済みの民法及び民事訴訟法の知識を前提として、民事裁判実務における主張分析及び事実認定の各基礎理論を理解し、かつ、それらを書面又は口頭で的確に表現できるようになること並びにこれらが民事裁判手続においてどのように行われるのかを理解することである。また、民事訴訟手続の各段階における裁判所及び訴訟代理人の役割や活動内容について、具体的イメージの形成の基礎となる事項を把握して、司法修習へスムースに移行することができる基本的・汎用的能力を涵養することも副次的な目的である。 到達目標は、基本的な事例について、原告の請求を的確に理解し、訴状に記載すべき請求の趣旨と当該事例の訴訟物を正確に把握した上で、要件事実論を踏まえて主張を分析整理し、その整理過程を説明できるようになること、また、争いのある主要事実(争点)に関し、証拠の種類や内容、判断の枠組みを踏まえ、事実認定の手法を理解できるようになること並びに民事保全及び民事執行手続の基本的な制度を理解するとともに適切な手続選択ができるようになることである。 なお、C plusには科目ごとの到達目標が掲げられているので、それらを自学自修を含めて各自が2年次の終了時までに修得するべく、計画的な学修を進めるよう留意されたい。 |
授業の概要 | 民事訴訟実務における裁判所及び訴訟代理人の役割や活動等の訴訟運営のあり方に関する理解を深めるために、基本的かつ典型的な攻撃防御方法を含む事例問題や模擬記録(テキストに掲載のもの。)を用いて、実体法の解釈から導かれる法律要件をもとに具体的事例における要件事実を摘示すること及び事実認定の判断枠組み等の基礎理論や考え方等を修得する。 民事訴訟実務を勉強する上での重要な要素は3つあり、これに対応してこの科目も全体として3つに大別できる。第1は、主張分析、すなわち、①訴訟物を把握し、②要件事実論を用いて、当事者の主張を請求原因、抗弁、再抗弁等に整理した上で、③そのように整理した要件事実(主要事実)について相手方の認否を確認して、争いのある主要事実(争点)を把握することである。第2は、事実認定論、すなわち、争点(争いがある主要事実)について、書証と人証との違いを意識した上で、直接証拠に該当する類型的信用文書の有無等に留意しながら、証拠から的確に認定する過程を理解することである。第3は、争点整理手続を中心とした手続を理解し、使いこなせるようになること(訴訟運営)である。これらの要素は相互に密接に関連するので、適宜、相互関係についても説明する。 以上のほか、民事訴訟に関連する手続・制度として、民事保全及び民事執行の制度概要や基本的な事項について、事例問題を用いて、学修する。 |
講義内容 | 第1・2回(第1週) 民事訴訟の基本的な構造及び売買契約に基づく目的物引渡請求等の要件事実 第3・4回(第2週) 売買代金支払請求訴訟(問題研究1) 第5・6回(第3週) 売買代金支払請求訴訟(問題研究2)及び貸金返還請求の要件事実 第7・8回(第4週) 貸金返還請求訴訟(問題研究3) 第9・10回(第5週) 訴状の記載等及び所有権に基づく不動産明渡請求訴訟(問題研究4-1) 第11・12回(第6週) 所有権に基づく不動産明渡請求訴訟(問題研究4-2) 第13・14回(第7週) 登記手続請求訴訟(問題研究5) 第15・16回(第8週) 賃貸借契約終了に基づく不動産明渡請求訴訟(問題研究6) 第17・18回(第9週) 所有権に基づく動産引渡請求訴訟(問題研究7)及び強制執行 第19・20回(第10週) 事実認定 第21・22回(第11週) 民事訴訟第一審手続の解説・事実認定 第23・24回(第12週) 民事訴訟第一審手続の解説・事実認定 第25・26回(第13週) 民事保全等 第27・28回(第14週) 譲受債権請求訴訟(問題研究8) 第29回・第30回(第15週) 総復習・まとめ(具体的内容は、開講後指示する。) |
評価方法 | 自主的な予習・復習に基づく授業における学生の発言、提出レポート及び期末の筆記試験による。なお、授業中の発言や参加状況及び提出レポート等の平常点に35%(欠席は減点事由となる。)、期末試験に65%の比重を置く。 |
テキスト・参考文献等 | (テキスト) 司法研修所編『改訂新問題研究要件事実』法曹会、2023年 司法研修所編『第4版民事訴訟第一審手続の解説』法曹会、2020年 司法研修所編『4訂紛争類型別の要件事実』法曹会、2023年 司法研修所編『改訂事例で考える民事事実認定』法曹会、2023年 なお、授業で用いる事例及びレジュメは、原則として、Cplusを通じてデータファイル形式で配布する。 (参考文献) 司法研修所編『10訂民事判決起案の手引(補訂版)』法曹会、2020年 どのように要件事実(主要事実)を記載すべきかについては、「事実摘示記載例集」が参考となる。どのように見出し及び攻撃防御の対象を記載すべきかについても、同様である。 最高裁ウェブサイト内「民事裁判教官室コーナー」(上記テキスト、参考文献を補足する資料や教材が掲載されることがある。参照すべき箇所は、授業において適宜指摘する。) 以上のほか、授業の課題に応じ、適宜指摘して学生の参考とすることがある。 |
科目群 | 実務基礎科目群 |
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